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6話 初の常時依頼を行った

Penulis: みみっく
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-04 07:00:08

♢新たな冒険のはじまり

「いつもの場所だと、シャルが探しに来るかもしれないし……せっかく冒険者になって初の仕事だし、邪魔されたくない」

 そう心の中でつぶやきながら、俺は隣に立つアリアに、新しい目的地を提案した。

「俺は何度かそこに行ってみたけど、人はいないから気にせずに魔法が使えるし。目当ての薬草も手つかずでいっぱいあったよ」

 アリアは、少し迷ったような顔で「うぅ〜ん……ユウくんが、そう言うなら……行ってみようかなぁ……」と、小さな声で言った。視線はゆらゆらと揺れ、何かを考え込んでいるようだった。

(あれ……俺、無茶なこと言ってるかも? 大丈夫だよな? 無茶じゃないよな?)アリアの困っているような表情を見て、俺は少し心配になった。でも、ちゃんと下見もして安全の確認、薬草の種類まで調べたしな。

「危険だと思ったらすぐに帰ってこような。アリアも危険だと思ったら声をかけてな」俺が念を押すと、アリアはほっとしたように、小さく「うん。わかったぁ」と、こくりと頷いた。

 普通は歩いて、徐々に行動範囲を広げつつ色々な情報を集めていくんだけど、そんなことをしていたら、自分たちの情報を隠しておけなくなるし、周囲に気を使って窮屈だ。だから俺たちは転移魔法で、目的地まで一気に移動した。

 視界が開けた瞬間、アリアの瞳がきらきらと輝いた。「わぁ〜ホントだぁ〜! 薬草がいっぱいっ♪」目の前に広がる薬草の群生地に、アリアは興奮を隠しきれない様子で、思わず一歩踏み出した。

「そうそう……これ使ってよ」

 レベルの急上昇に伴って、俺はさまざまなスキルを次々と習得していった。 中でも特に便利だったのが、《異空間魔法》だ。

 この魔法を応用し、魔石に空間属性の付与を施して、自作のバッグを制作してみた。 魔石は装飾品のようにバッグの表面にあしらい、見た目も華やか――異空間型の魔道具だ。

 その内部は、討伐した猛獣すら楽に収められるほどの膨大な収納容量を持っている。 しかも異空間内に保管されるため、どれだけ物を詰め込んでも重さはバッグ本体のまま。 まさに“持ち歩ける倉庫”といっても過言じゃない。

 ……ただし、このバッグにはひとつ問題がある。 製作工程が非常に複雑で、多くの熟練した職人たちの技術を必要とするため、人件費だけでも高額になる。 さらに、必要な素材や魔石も希少で高価――結果として、このバッグは並の冒険者では到底手が出せないほどの超高級品だ。

 それだけに、こうしたバッグを所持するのは、中ランク以上の冒険者でもごく一部。 大半は長い時間をかけて貯金を重ね、ようやく手に入れるという憧れの逸品だ。

 そんな逸品を、俺は何食わぬ顔でアリアに差し出した。 彼女は目を丸くして、バッグを不思議そうに眺める。

「えっ? 可愛い〜……ど、どうしたの? わたしへのプレゼント? ちゃんと薬草入れるバッグは持ってきてるよ?」

 首を少し傾げながら、その小さな手でバッグをそっと受け取る。

「それ、異空間アイテム収納バッグだよ」

 俺がさらっとそう告げると、アリアの顔がぴくりと引きつった。

「え? えぇー!? そんな高価な物……もらえないよっ! ダメだよ」アリアは、本当に困ったように顔を歪ませ、差し出されたバッグから一歩退いた。異空間アイテム収納バッグが高価だということを知っている子供は少ないと思うのに、アリアは知っていたんだな。

「あはは……これ俺の手作りだし、バッグは俺が昔使ってたやつだよ。それに魔石は魔物を討伐したやつだし、お金はかかってないよ」俺は、慌ててごまかすように言った。

 アリアは、俺の言葉の裏にある事実に気づき、呆然とした表情になった。「え? あのさ……えっと……ってことは……異空間魔法と付与スキルを持ってるの?」その瞳が、まっすぐに俺を捉えていた。

 あ……そうだ。アリアも魔術師だし、異空間魔法の難しさは知ってるんだった。 異空間魔法は、高ランクの魔術師でも使える人が少ないレアな系統だ。 さらに“付与スキル”まで持っていれば、魔道具を制作して売るだけで生計が立つレベル―― わざわざ命懸けの冒険なんてしなくても、余裕で稼げる。

 ……って、俺、自分からさらっとバラしてるし……

 そう気づいた瞬間、ひどく後悔の念が湧いた。完全に、迂闊だった。

「えっと……まあ……その……秘密でお願いね?」

 ばつが悪くなって、俺は視線を逸らしながらぽつりと頼む。

 アリアは少しのあいだ考え込むように黙っていたけれど、やがてふわりと笑った。 その笑みには、どこかいたずらっぽくも安心したような、優しい色が滲んでいた。

「……ありがとぉ♪ もちろん、秘密にしておくよぅ。だってバレちゃったら、せっかくパーティを組めたのに……他のパーティの人たちから勧誘が来るかもだし、 魔道具職人さんの弟子にされちゃうかもだし……それって、わたしが困るぅ〜」

 そう言って、彼女は眉を下げて困ったふうに微笑んでみせた―― その仕草は本当に困っているのか、ちょっとした独占欲なのか……判断が難しい。

 ……アリアも、俺と同じで案外秘密主義なのかもしれない。 というか、必要なこと以外はあまり口にしないタイプなのかも。

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